U29 | Bogleheads®投資哲学リレーコラム「1.実行可能な計画を立てる(Develop a workable plan)」

Bogleheads®日本チャプター: リレーコラム<vol.17>
2024年1月21日
インデックス大学生

<自己紹介>
皆様初めまして。Bogleheads®日本チャプター U29メンバーのインデックス大学生と申します。

先日堀内くんの方から紹介があったようにこの度、Bogleheads®日本チャプターの新たな活動として、20代を中心としたBogleheads®日本チャプター U29が始動しました。

私は経営学部に所属しており、大学で金融や投資について学び、実際に投資もしている現役大学生です。

投資手法は主にインデックス投資を毎月コツコツ購入するドルコスト平均法を採用しています。

インデックス投資を選択した理由は、金融や投資について学ぶ中で、「敗者のゲーム」「ウォール街のランダム・ウォーカー」といった名著に出会い、自分のような投資経験と資金力の乏しい大学生でも毎月コツコツ入金すればほとんど何もしないで市場平均とほぼ同等のリターンが狙えることや、信託報酬の面での有利さ、つみたてNISAの非課税メリットなどを知り、自分を含めたほとんどの人にとってインデックス投資が最も適当な投資手法であると考えるようになったからです。

また、お金を投資に回すことで将来の選択肢が増え、やりたいことができるようになったり、日々の生活に少し余裕を持ったりすることができます。

そのため、インデックス投資を始めとした投資を幅広い日本の人、特にこれから自助努力が必要になる若い世代に知ってもらうことで、生活をより良くし、将来に対する不安より希望を持つ人が増えてほしいと私は考えています。

そこで、様々な活動団体がある中で米国の非営利団体で中立的な立場から参加できるBogleheads®日本チャプターの活動に参画いたしました。

Bogleheads®投資哲学リレーコラムについて

活動の第一歩として、Bogleheads®の10の投資哲学をU29のメンバーが自分なりに読み込み、自分の言葉でよりわかりやすく紹介していこうということになりました。

Bogleheads®投資哲学とは、米国でインデックスファンドを世界で初めて個人投資家向けに提供したバンガードの創業者Bogle氏の投資の考え方に賛同したメンバーが作成した10の投資哲学です。

Bogleheads®の投資哲学を広め、その理解を深めると同時にU29の活動の始まりとして原点であるBogleheads®投資哲学に立ち返ることを目的としています。

では早速Bogleheads®投資哲学の1つ目である『実行可能な計画をたてる』について紹介していきます。

1. 実行可能な計画をたてる
(Develop a workable plan 英語全文はこちら

今回は「実行可能な計画をたてる」という原則について、インデックス大学生こと、私の投資体験談を交えてお話したいと思います。

一般的に大学生や若者はお金が無いと言われています。
当時大学2年生だった私もその例に漏れず、お金がありませんでした。

正確に言えば、自分にいくら資産があるのかを把握しないまま、入ってきた収入額をそのまま支出として浪費していました。

お金が入っては使い、入っては使いと繰り返していたので、当然お金が増えるわけもありません。

しかし、ある時転機が訪れます。

就職活動のために、自分がこれからどのような人生を送りたいか考えた時にこのままお金のために働く毎日は送りたくないなと考えるようになったのです。

お金のために働くのではなく、自分がやりたいことのために働きたい。
お金のために職場にしがみついたり、上司に媚びを売りたくない。

そう考えた私は、まず自分の持っているお金について把握するためにマネーフォワードというスマートフォンの家計簿アプリを利用し始めました。すると、私の現在の資産や支出額が見え始め、同時に洋服代が支出に占める割合がかなり大きいこともわかりました。

確かに、自分のクローゼットの中には洋服がたくさんありました。しかし、よく調べてみると着る服は毎回ほとんど同じで、着ない服は文字通りタンスの肥やしとなっていました。

この現状を知った私は思い切って着ない服を断捨離し、愛用している服だけを残しました。また、服を一着買うごとに一着捨てなければならないというルールも定めました。

その結果、以前より遥かにクローゼットの中身はシンプルになり、支出に占める洋服の割合も減り、全体的な支出額も大きく減りました。

家計簿を付けることで、自分の収支を正しく把握し、無駄な支出を抑えられるようになったのです。

その結果、お金が無いと言われる大学生の私でも毎月1、2万円は貯金できるようになりました。

さて、支出を把握し、貯蓄が増えるようになった私は貯金を運用することを考え始めました。
経営学部に所属していたこともあり、超低金利な銀行預金よりもお金を株式や債券と言った金融商品として運用する方が良いと言う知識はあったのです。

ただ、当時の自分はそれ以上の知識は無く、とりあえず値上がりしそうな企業の株式を2社分購入しました。いきなり個別株に手を出してしまったのです。
しかも自分の資産の半分以上を突っ込みました。明らかにリスクの取りすぎです。

そのため、実際に個別株を保有してみると、その値動きが毎日気になって仕方がなくなってしまいました。大学の講義中も株の値動きが気になり、携帯を触り続ける始末。

そしてある日、持っていた株式のうち1つの企業が株式をPOすることを発表しました。POとは、公募増資・売り出しのことで、すでに上場している企業が株式を新たに発行し、売り出すことです。
発行済株式数が増えるため1株あたりの利益(EPS)と価値が減少し、今まで世に出回っていた株式の価値が相対的に下がるため(株式の希薄化)、私が持っていた株式の株価も大きく下落してしまいました。

既に株式の値動きに疲弊していた私はその下落に耐えきれず、株価が底をついたところで今まで持っていた全ての株を手放してしまいました。

無計画にリスクを取りすぎてしまったことで私は市場から退場することになったのです。

失意の中、それでも資産運用を諦めきれなかった私は資産運用について一から勉強し直しました。そこで出会ったのが「敗者のゲーム」「ウォール街のランダムウォーカー」でした。

彼らが言うには、プロの投資家でも市場平均を超えるのは難しいが、インデックスファンドを持ち続けるだけで誰でも市場平均と同等のリターンを得られるとのことでした。

まさに目から鱗でした。

早速、私は証券口座でインデックスファンドを買い付けようとしましたが、その前に前回の反省を活かし、自分にとって無理のない範囲で毎月入金する計画とルールを立てました。

具体的には、投資はあくまで余剰資金で行いつつ、基本的には現金預金と投資の比率を1:1の割合に保つ。また、大きなお金が必要なイベントがある場合はそのイベント用に別で現金を保持しておくなどといったルールを定めました。

そして投資の目的は資産の最大化と投資の経験を積むことであると明文化しました。

私は2023年3月からインデックス投資を始め、勉強も兼ねて色々なファンドに投資した結果、2024年1月現在約10%のリターンを上げることが出来ています。短期的なパフォーマンスでは結論は出せませんが、私のメインの投資先である全世界株式のインデックスファンドのみに投資をした方が手間暇や直近の市場を考慮するとリターンが大きかったのではと最近は考えるようになりました。

私のような投資経験と資金力の乏しい大学生でも、きちんと家計簿を付けて収支を把握して貯蓄をし、計画を立てて投資をすることで市場の恩恵を受けることができるのです。

『実行可能な計画をたてる』というのはシンプルなようで中々難しいものです。
ご覧頂いたように私は大きく遠回りして、結果的にこの原則に自力でたどり着きました。

この原則を知ったのはBogleheads®日本チャプターの活動に参画した後ですので、もっと早くこの原則を知ることができていたら余計な苦労をせずに済んだのになと感じています。

この歴史的低金利とインフレの時代、資産を防衛するためには長期的に投資を行うことが必須と言っても過言ではないと思います。ただ、多くの日本の方にとって、時に大きな下落もあり投資は怖くてよくわからないといったイメージがあると思います。しかし、自分に合う投資の考え方や手法を、島々を漂流してやっと目的の島にたどり着いた私と違い、皆さんにはBogle氏の投資に対する考えを元にBogleheads®のメンバーが個人投資家本位の視点で策定したBogleheads®の投資哲学という航路があります。

この航路が多くの日本の方々に届き、生活が少しでも豊かになる方が増えることをU29のメンバーとして願ってやみません。

そして、このコラムが何かの参考になれば嬉しい限りです。
投資を始めたいけどここが分からないということがある場合、ぜひBogleheads®日本チャプターの掲示板に質問を投稿してください。ユーザー登録方法はこちらです。

ここまでお読みくださりありがとうございました。

インデックス大学生

前のコラム | リレーコラムトップに戻る