Bogleheads®日本チャプター: リレーコラム<vol.21>
2025年1月25日
堀内広輝
Bogleheads®︎日本チャプター U29の堀内広輝です。(前回の堀内広輝さんのコラムはこちら)
今回は、投資哲学の5つ目をご紹介させていただきます。
早速ですが、皆さんは株式投資に何を期待されるのでしょうか。
不労所得の分かりやすい例の一つである配当?
受け手によってその価値の捉え方が大きく変わってはしまいますが、実際にユーザーだからこそ恩恵を受けることもある株主優待?
安いうちにある株を買い、数ヶ月から年単位の期間での企業の成長によって株価が高くなった時に売り、その差益で多大な利益を出すこと?
資産をより大きく増やしていく上では、対価として価格変動のリスクは伴いますが、企業の成長に伴った株価の上昇が最も利幅を期待できるかと思いますので、安く買って高く売るということは確かに重要な観点であると思います。
しかし、売り買いする際に良いタイミング、つまりいつが安値付近でいつが高値付近なのかを、確実に判断することはできるのでしょうか。
今の瞬間が高値なのか安値なのかを判断することはプロの方でも難しいからこそ、プロの方でも継続的に高い利益を上げ続けることが難しいと言われているのではないかと考えます。
出来るだけ安値で買おうと待っているうちに株価が上昇してしまわない保証も、高値で売ろうと楽しみに株価を追っているうちに下落しない保証もないのです。
そこで、是非とも思い出して頂きたいのが「投資哲学5.マーケットタイミングを探らない(Never try to time the market)」、という今回のテーマになります。
また、タイミングを探り当てようと試みる際のデメリットは、探り当てること自体が困難なだけではないと考えます。
もう一つのデメリットといたしまして、時間損失が挙げられると考えます。答えを出すことが困難な中、悩みに悩んで徐々にストレスも溜まる状況で、追い打ちをかけるように時間は刻一刻と流れていってしまいます。
時間もお金同様またはそれ以上に価値があるものです。タイミングを探り当てるのが困難というだけでなく、探るのに要する時間損失についても考慮に入れますと、タイミングを探ることに必死になるのはさらに得策ではないとお分かりいただけると思います。
さらに、投資にご興味のある皆様にこそお伝えしたいのですが、タイミングを探ることをやめたことで得た時間を使った投資、というのもお楽しみいただけるのではないでしょうか。
例えば、資格試験の勉強で将来的な収入増加を狙う、筋トレや日々の散歩といった運動、あるいは毎日何を食べるかで健康状態は大きく左右されることから食事を意識することに時間を使い、将来的な医療費としての出費削減を図るなど、身近な実践例は様々挙げられるでしょう。
結果が分かりやすいものから超長期のものまで、お金だけでなく時間でも大きなリターンにつながる投資ができることを思い出していただければ幸いです。
以上、マーケットタイミングを探らないというテーマでご紹介させて頂きましたが、ではタイミングを探ることに注力せずにどう株式投資すれば良いのか、という疑問が残ってしまいます。
その解決策として、よく知られているものにはなりますが、一銘柄を一度に買う/売ることをせずに数回に分ける時間分散や、数日単位での価格変動の影響は長い目で平均してみれば小さくなることを利用した長期投資があると考えます。
時間分散、長期投資については、それぞれ「投資哲学4. 分散」、「投資哲学2.早くから、かつ定期的に投資する仕組みをつくる」にて紹介されておりますのでぜひご一読ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。