U29 | Bogleheads®投資哲学リレーコラム「4.分散(Diversify)」

Bogleheads®日本チャプター: リレーコラム<vol.20>
2025年1月24日
インデックス大学生

皆様お久しぶりです。Bogleheads®︎日本チャプター U29のインデックス大学生です。(前回のインデックス大学生さんのコラムはこちら

プライベートが忙しく、リレーコラムの投稿が遅くなってしまい申し訳ございません。

しかしながら、忙しいプライベートを過ごしていても、主にインデックス投資に充てた私の資産は少しずつ増えていました。ほったらかしでもお金がお金を稼いでくれる投資の力にはただただ驚かされるばかりです。そんな投資について語り合い、啓発する私たちの活動にご興味のある方はいつでもご連絡ください。

さて、今回は投資哲学の4つ目である、「分散(Diversify)」についてお話ししたいと思います。といっても教科書的な説明は端的に済ませようと考えています。なぜならその辺は私より賢い方々や企業の方がインターネットや本でしっかりと説明してくださっているので投資初心者の私はその方々にご説明はお任せしたいと思います。では、私ができること、私にしかできないことは何かということを考えた際に、「投資初心者だからこそわかる教科書には載っていない分散の意義」をお話したいと思います。「教科書には載っていない分散の意義」とは…?そう思いながらこのコラムを読んでいただけると幸いです。

ではまずは分散について簡単にご説明します。投資における分散とは投資先を複数に増やしたり、投資のタイミングをバラバラにすることで投資におけるリスクを下げる手法です。例えばある一つの企業の株式だけに自分の持っている資産を全て投資してしまうと、その企業の株価が上がった時は良いのですが、下落したり、倒産してしまうと、資産を大きく失ってしまうことになります。それを防ぐために複数の企業の株式を保有したり、株式以外の資産も合わせて保有することを分散投資といいます。「卵を一つのカゴに盛るな」(割れた時に大変なことになるから)ということです。

また、少し難しい話になりますが、適切な分散はリスクを一定に保ちながら、効率的にリターンを最大化することにつながります(ポートフォリオ理論)。投資の世界ではリスクとリターンは一般的に比例関係にあり、トレードオフの関係なのですが、分散投資をすることでポートフォリオ全体のブレ幅を抑え、リスクとリターンのバランスをうまく取ることができます。

とはいえ、様々な資産に投資する必要がある分散投資、そんな簡単にできないよとお考えになる方もいるかもしれません。そんな方にお勧めなのがインデックスファンドによるインデックス投資です。インデックス投資は複数の企業の株式の価額をまとめた指数(インデックス)に資産を投じる投資手法です。言わば、複数の株式がひとまとめになったバスケットのようなものです。日本でいえばTOPIXや日経平均株価が有名ですね。これに投資をすることで、誰でも簡単に分散投資ができます。今では全世界の株価に連動するインデックスファンドもあるので、これに投資をすれば誰でも簡単に世界の企業に分散投資ができます。

さて、ここまでが所謂教科書的な説明でした。ここからは私の個人的な体験を元に、分散の教科書には載っていない意義をお話ししたいと思います。その意義とは、ずばり、メンタルの安定です。どういうことかというと、数年前に私は自分の資産の半分を二つの企業の株式のみで保有していました。(大学生の資金なのでそこまでの大金ではありません。)するとどうなってしまったか。毎日その二つの企業の株価が気になり、朝起きたら株価を確認、通学中に株価を確認、講義中に株価を確認、昼食中に株価を確認、寝る前にも株価を確認…と常に気が休まらない状態になってしまっていたのです。株式を購入する前にちゃんと計画を立て、自分なりの分析をした上で購入したのにこうなってしまいました。自分の資産の半分が常に激しく価額変動するのですから仕方のないことですが、当時はかなり神経をすり減らしてしまい、最終的に損益がトントンになったタイミングで二つの株式を売却しました。もしもの話ですが、その株式を今でも保有していたら片方の株式は約二倍の価額になっていました。悔やんでも悔やみきれません。

先ほど申し上げたように分散とはリスク(リターンのブレの大きさ)を抑える手法です。過去の私がやっていたたった二つの企業の株式を保有するというのはいわゆる集中投資です。高いリスクを対価に大きなリターンを得る可能性もあります。しかし、その説明には大きく抜け落ちている観点があります。それは人間は合理的な生き物ではなく、感情の生き物であるという点です。どんなに良い商品でも値動きが激しいと人は不安になります。その不安は恐怖を引き起こし、過去の自分がやってしまったように株式市場からの撤退を招きます。そうなってしまうと得られたはずのリターンを全て逃すことになります。

投資は長く続けることが不可欠です。だからこそ投資初心者こそ、分散投資でリスクを下げる必要があるのです。事実、私はその後、個別株式からインデックスファンドに乗り換え、投資はほったらかしにして、株式相場から離れ、自分自身のやるべきことに集中しています。分散投資は、単にリスクを抑えるだけでなく、投資家自身の心を守る盾となります。私は分散を実践することで、株価の値動きに左右されない生活を手に入れました。長期にわたって投資を続けるためにも、分散投資は投資初心者にとって欠かせない考え方だと思います。

投資初心者こそ意義がある、分散投資。ボーグルヘッズの投資哲学を通じて、皆様にその意義が伝われば幸いです。

インデックス大学生

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